前歯に横向きの縞のような色ムラがある。子どものころから歯の色を指摘されてきた。調べてみると「テトラサイクリン歯」という言葉に行き当たり、削って人工物を被せる説明ばかりが出てくる——そんな状態で読み始めている方が多いと思います。
先に整理しておきたいのは、この変色が歯のどこで起きているかです。場所が分かると、なぜ表面のクリーニングでは動かないのか、そして薬剤ならどこまで届きうるのかが見えてきます。順に見ていきます。
変色が起きている場所が違う
歯は、生まれる前から乳幼児期にかけて作られます。この時期にテトラサイクリン系の抗菌薬を服用すると、その成分が歯の硬い組織に取り込まれることがあります。取り込まれた成分は歯の一部として残り、後から色として現れます。
問題は、取り込まれる場所です。歯は外側からエナメル質、その内側が象牙質という構造になっていますが、この変色は主に象牙質で起きています。
ここが決定的です。飲食物による着色は、歯の表面を覆うペリクルという薄い膜に色素が付着したもので、上に乗っているだけです。だから落とせば元の色が現れます。一方、象牙質の変色は歯そのものの色なので、表面をどれだけ磨いても変わりません。
しかも、象牙質はエナメル質の下にあります。外側から働きかけようとすると、エナメル質を通り抜けた先まで届く必要があります。薬剤による方法が候補になるのはこのためで、表面を落とす手段では役割が違うのです。歯の色がどう決まるかは歯の黄ばみを取る方法|原因別に「落とす・薄くする・覆う」で整理にまとめました。
なお、日本では小児へのこの薬の使用が制限されているため、近年に生まれた世代では起こりにくくなっています。
見分け方の手がかり
自分の歯がこれにあたるのかどうか、鏡で確認できる手がかりを挙げます。
左右対称に出やすい。 歯が作られる時期に取り込まれたものなので、同じ時期に作られた歯に同じように現れます。右の犬歯だけ、といった偏り方はしにくくなります。
帯状に見えることがある。 服用していた時期に作られた層に成分が入るため、横向きの縞のように見えることがあります。歯の高さ方向で色が変わって見えるのが特徴です。
全体に及ぶ。 特定の面や、歯と歯の間だけに偏るのではなく、歯の広い範囲に及びます。
対して、飲食物による着色は場所が偏ります。 歯と歯の間、歯の根元側、歯みがきが届きにくい部分に濃く残るのが典型です。
ただし、両方が重なっていることも珍しくありません。上に着色が乗っていると、下の変色の程度が読みにくくなります。確定は歯科医院での診察によります。 クリーニングで表面を落としてから、あらためて色を見るという順番になることもあります。
程度によって見通しが変わる
歯科では、この変色を強さによって段階に分けて考えることがあります。おおよその目安を示します。
| 段階 | 見え方 | 薬剤による変化 |
|---|---|---|
| 軽い側 | 淡い黄色から褐色。全体に均一で、縞は目立たない | 変化を感じられることがある |
| やや強い | 濃い黄色から灰褐色。全体に均一 | 時間をかければ変化を感じられることがある |
| 強い | 濃い灰色や青みを帯びた色。縞模様が現れる | 変化は小さくなる傾向 |
| かなり強い | 色が濃く、縞模様もはっきり出る | 変化は小さくなる傾向 |
大切なのは、これは自己診断のための表ではないということです。実際の見え方は光の条件でも変わりますし、上に着色が乗っていれば印象も変わります。自分がどこにあたるのかは診察で確認してください。
そして、どの段階でも共通することがあります。到達できる明るさは歯の側で決まるという点です。薬剤や回数を変えても、届く先は変わりません。効果の感じ方には個人差があります。
だからこそ、始める前に見通しを聞いておく価値があります。 どのくらいの変化が見込めるのかを診察で確認したうえで判断すれば、費用をかけて期待とずれる、という事態を避けられます。
費用に関する注記(自由診療について)
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容は薬剤による歯の漂白で、費用は歯科医院や方法によって異なります。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療のむし歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方や必要な回数には個人差があります。
時間がかかる理由
この変色に薬剤で働きかける場合、通常より長い期間を見込むことになります。
一般的なホワイトニングでは、目標の明るさまで2週間から3ヶ月程度が目安です。ところが象牙質の変色が対象になると、薬剤が届いて作用する深さの分だけ、必要な時間が伸びます。
そのため、自宅で行う方法が採られることが多くなります。低い濃度の薬剤を長い時間かけて作用させるほうが、深い層への働きかけに向くとされているためです。自宅で行う方法の中身はホームホワイトニングとは?仕組み・効果・費用と「白くなる歯/ならない歯」の見分け方で解説しています。
長く続けるうえで効いてくるのが、色の記録です。1日ごとの変化は小さいので、鏡を見ているだけでは進んでいるのか分かりません。開始前に色を記録し、同じ条件で週に1回ほど測る。 これがあると、続けるかどうかを客観的に判断できます。
薬剤が歯の中でどう働くのかはホワイトニングの仕組み|薬剤が歯を白くするまでに何が起きているかにまとめています。
届かなかったときの選択肢
正直に書いておきます。薬剤による方法で、思うところまで届かない場合があります。 特に色が濃く、縞模様がはっきりしている場合です。
そのときに残るのは、歯を削って人工物で覆う方法です。
表面を薄く削って材料を貼る方法。 前歯の見える面に薄い板状の材料を貼り付けます。削る量は比較的少なく済みますが、削らないわけではありません。
全体を覆う被せ物にする方法。 歯を削って土台を作り、その上に人工の歯を被せます。色は自由に決められます。
どちらも色を確実にコントロールできる代わりに、歯質を削ることになります。 そして、人工物は後から薬剤で色を変えられません。この性質はインプラントがあるとホワイトニングはできない?順番と維持で考えるでも扱っています。
ここで順番の話になります。削らない手段を先に試しておけば、選択肢は減りません。 薬剤で届けばそこで終わり、届かなければ削る手段に移る。逆の順番はとれません。一度削った歯は元に戻らないからです。
薬剤で目標まで届かなくても、変化した分だけ人工物との差が小さくなり、後の色合わせがしやすくなることもあります。無駄になるとは限りません。
費用に関する注記(自由診療について)
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容は薬剤による歯の漂白で、費用は歯科医院や方法によって異なります。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療のむし歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方や必要な回数には個人差があります。
始める前に確認しておきたい4つのこと
診察の場で聞いておくと、判断がぶれません。
変色の程度。 今の状態がどのあたりにあたるのか。上に着色が乗っている場合は、それを落としてからの判断になります。
見込まれる期間。 通常より長くなる前提で、どのくらいを想定するのか。
どこまでを目標にするか。 周りの歯と同じ明るさを目指すのか、今より穏やかにするのか。目標の置き方で満足度が変わります。
届かなかった場合の次の手段。 そのときに何が候補になり、費用と期間がどう変わるのか。先に聞いておくと、途中で迷いません。
テトラサイクリン歯のホワイトニングに関するよくある質問
自分がテトラサイクリン歯かどうか分かりません
左右対称に現れる、横向きの縞のように見える、歯の広い範囲に及ぶ——このあたりが手がかりになります。ただし、上に飲食物による着色が乗っていると判断しにくくなります。クリーニングで表面を落としてから色を見る、という順番で確認できます。
子どもの歯にも起こりますか
歯が作られる時期に該当する薬を服用した場合に起こりうるものです。現在は小児への使用が制限されているため、以前より起こりにくくなっています。気になる場合は、かかりつけの歯科医院で歯の状態を見てもらってください。
途中でやめたら、それまでの変化は戻りますか
薬剤で変化した色は、時間の経過とともに少しずつ戻る性質があります。ただし、開始前の状態にそのまま戻るわけではありません。中断が長引きそうなときは、その時点の色を記録しておくと再開の判断がしやすくなります。
福岡で相談するときは何から始めればいいですか
まず、変色の原因と程度を診てもらうところからです。テトラサイクリンによるものなのか、別の原因なのかで進め方が変わります。そのうえで、どこまで変化が見込めるのかを聞いておくと、試す価値があるかを判断できます。オンラインでの診察に対応している歯科医院なら、長い期間が必要な場合でも通院の負担を抑えられます。
まとめ|削る前に、試せる順番がある
テトラサイクリン歯の変色は、歯が作られる時期に薬の成分が取り込まれて起きるもので、変色の層は象牙質にあります。 表面のクリーニングでは動かないのはこのためです。
見分け方の手がかりは、左右対称・帯状・広い範囲。ただし上に着色が乗っていることも多く、確定は診察によります。
薬剤による変化の見込みは、変色の程度によって変わります。軽い側では変化を感じられることがあり、濃く縞模様がはっきりしている場合は変化が小さくなる傾向です。到達点は歯の側で決まり、効果の感じ方には個人差があります。
そして期間は、通常より長く見込むことになります。低い濃度の薬剤を長く使う方法が採られやすく、色の記録が続けるうえでの支えになります。
削る手段は、その後に残っています。 先に削らない方法を試しておけば、選択肢は減りません。まずは自分の程度と見通しを確認するところから始めてみてください。
福岡博多矯正歯科のホワイトニング
通院の負担を抑えたい方に向けて、オンライン診療と自宅でのケアで進めるホワイトニングをご用意しています。3Dスキャンで採得した歯型からオーダーメイドのマウスピースを作成し、歯科医師の診断のもとでホワイトニングジェルと知覚過敏抑制剤をご自宅にお届けします。
- 診察はオンラインで完結。マウスピースをお持ちの方はご来院いただく必要がありません
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング(国内で承認された薬剤を使用)
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:使用中や使用後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療のむし歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・詰め物・被せ物・差し歯などの人工物は薬剤では白くなりません。効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
