ホワイトニングを考えて調べていると、こんな2つの説明に出会います。「むし歯は先に治療してから」「詰め物の色はホワイトニング後の歯に合わせた方が自然」——どちらが先なのか、食い違って見えるところです。
実はこの2つは矛盾していません。治療という一語のなかに、2つの別々の工程が入っているからです。むし歯を取り除く工程はホワイトニングの前、最終的な詰め物を入れる工程はホワイトニングの後。この構造が分かると、順番も全体のスケジュールも見通せます。順に整理していきます。
むし歯があるとホワイトニングは行えない
まず前提として、むし歯がある状態でホワイトニングを始めることはできません。理由は2つあります。
薬剤が内部に入り込む
むし歯で穴が開いた部分や、歯と詰め物のすき間があると、そこから薬剤が歯の内部へ届きます。健康な歯であればエナメル質が防いでいる経路を、薬剤が通ってしまう形です。
その結果、強くしみることがあります。ホワイトニングでしみる仕組みそのものはホワイトニングで知覚過敏になるのはなぜ?2つの経路と経路別の対処で解説していますが、むし歯がある場合はそれとは別の経路が加わることになります。
色を変えても、むし歯そのものは変わらない
もうひとつは単純な話で、歯の色を明るくしても、むし歯の状態は何も変わりません。見た目の変化に気を取られて、必要な対応が後回しになる——順番として合理的ではない、ということです。
先に治療を済ませておけば、ホワイトニングはそのあと落ち着いて進められます。
「先に治療」と「あとで色合わせ」は矛盾しない
ここが本題です。むし歯の治療は、工程が分かれています。
| 段階 | やること | ホワイトニングとの前後 |
|---|---|---|
| 第1段階 | むし歯を取り除き、必要に応じて仮の詰め物で整える | ホワイトニングの前 |
| 第2段階 | ホワイトニング | — |
| 第3段階 | 最終的な詰め物・被せ物を入れる | ホワイトニングの後 |
「治療」と一語で呼んでいるものが、実は第1段階と第3段階に分かれている。だから「先に治療」も「あとで色合わせ」も、どちらも正しかったわけです。
ただし、この形になるのは型を採って作る人工物を入れる場合です。その場で材料を詰めて仕上げる小さな治療では、詰めることと色を決めることが同じ工程になります。この場合は、ホワイトニングを済ませてから治療する方が色を合わせやすくなります。
どちらの形になるかは、むし歯の大きさと場所によって変わります。組み方は診察で決まると考えてください。
なぜ第3段階を後に回すのか
理由は、人工物の色が薬剤では変わらないことにあります。
詰め物・被せ物・差し歯といった人工物は、作った時点の色のままです。ホワイトニングで周りの歯が明るくなっても、そこだけ元の色で残ります。
もし明るくなる前の歯に合わせて色を決めてしまうと、ホワイトニングのあとに人工物だけが暗く見えることになります。作り直しになれば、時間も費用も余分にかかります。
だから、先に歯を明るくして、その色に合わせて人工物を作る。この順番であれば、仕上がったときに色が揃います。
治療後に間隔を空ける理由
治療が終わってすぐにホワイトニングを始められるわけではなく、数日から数週間の間隔を空けます。
理由のひとつは、治療直後の歯が刺激を受けやすい状態にあることです。削って詰めた直後は歯の内部が敏感になっており、そこへ薬剤の刺激が加わると強く出やすくなります。
もうひとつは、詰めた材料と歯の境目がなじむまでに時間がかかることです。境目にわずかなすき間があると、そこから薬剤が入り込む経路になります。
数日から数週間という幅があるのは、詰め物の大きさや、削った部分が神経にどれだけ近いかによって変わるためです。具体的な期間は、治療した歯科医院で確認してください。
自由診療についての注記
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容は薬剤による歯の漂白で、費用は歯科医院や方法によって異なります。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療のむし歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方や必要な回数には個人差があります。
前歯と奥歯で扱いが変わる
3段階の順番が問題になるのは、人工物が見える位置にある場合です。
前歯や、笑ったときに見える範囲の歯であれば、色の差はそのまま印象に出ます。この場合は順番を守る意味が大きくなります。
一方、奥歯の見えない位置であれば、色の差が気になる場面は限られます。この場合は治療を先に完結させて、ホワイトニングは前歯だけ、という組み方も成り立ちます。
自分の人工物がどこにあるか、そして今回治療が必要な歯がどこかによって、スケジュールの組み方が変わるということです。
全体のスケジュールの目安
予定がある場合は、段階ごとの期間を積み上げて逆算します。
| 段階 | 期間の目安 |
|---|---|
| むし歯の治療 | 内容により1回〜数回の通院 |
| 治療後に空ける間隔 | 数日〜数週間 |
| ホワイトニング | 歯科医院で受ける方式は1〜3ヶ月/自宅で行う方式は2週間〜3ヶ月 |
| 最終的な色合わせ | 1回〜数回の通院 |
むし歯の治療が入るぶん、ホワイトニングだけの場合より全体は長くなります。期限が決まっているなら、この積み上げで間に合うかを確認してください。方式ごとの所要期間からの逆算はホワイトニングはどれがおすすめ?期限と目標から選ぶ方法を解説にまとめています。
費用は2つに分かれる
会計も分かれます。むし歯の治療は保険診療にあたり、ホワイトニングは自由診療で全額が自己負担です。
同じ歯科医院で続けて受ける場合も、この2つは別の会計になります。「ホワイトニングの費用に治療代が含まれる」ということはありません。
ホワイトニングの費用の考え方はホワイトニングの値段はいくら?種類別の相場と「総額」で考える方法で整理しています。予算を組むときは、治療の費用を別に見込んでおいてください。
「むし歯があるか分からない」段階の場合
しばらく歯科医院に行っていないと、むし歯があるかどうか自分では判断できません。痛みがなくても見つかることはあります。
この場合、ホワイトニングの相談に行った時点で治療が必要と分かり、そのぶん全体が後ろにずれる可能性があります。予定があるなら、早めに状態を確認しておく方が計算しやすくなります。
なお、むし歯が見つかったからといってホワイトニングができなくなるわけではありません。順番が決まるだけです。適否の判断そのものについてはホワイトニングはしない方がいい?言われる理由を3つに分けて考えるで整理しています。
自由診療についての注記
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容は薬剤による歯の漂白で、費用は歯科医院や方法によって異なります。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療のむし歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方や必要な回数には個人差があります。
虫歯とホワイトニングに関するよくある質問
小さい虫歯でも治療が必要ですか?
大きさだけでは決まりません。表面のごく浅い段階であれば経過を見る場合もありますし、小さく見えても内部で広がっていることもあります。薬剤が入り込む経路になるかどうかが判断の分かれ目になるため、実際に見てもらうのが確実です。
治療した歯もホワイトニングで白くなりますか?
詰め物や被せ物そのものは白くなりません。人工物の色は薬剤では変わらないためです。周りの天然の歯は明るくなるので、色の差が出ることがあります。前歯に人工物がある場合は、ホワイトニングのあとに色を合わせて作り直すという選択肢があります。
治療とホワイトニングを同じ歯科医院で受けた方がいいですか?
同じ場所で受けられれば、歯の状態を把握したうえで順番を組んでもらえるという利点があります。別々になる場合は、ホワイトニングを予定していることを治療する側にも伝えておくと、最終的な人工物の色を決めるタイミングを調整してもらえます。
福岡で順番を相談するにはどうすればいいですか?
診察でむし歯の有無、人工物の位置、そして予定の有無を伝えると、どの順番で組むかを設計してもらえます。「いつまでに」という期限があるなら、それも最初に伝えておくと逆算しやすくなります。通院の時間が取りにくい場合は、オンラインで診察を受けられる歯科医院を選ぶ方法もあります。
まとめ|治療は2段階。ホワイトニングはその間に入る
むし歯がある状態でホワイトニングは始められません。薬剤が内部に入り込んで強くしみる経路になるためで、先に治療を済ませる必要があります。
一方で、最終的な詰め物や被せ物の色は、ホワイトニングのあとに決めます。人工物の色は薬剤で変わらないため、明るくなった歯に合わせないと差が出るからです。
つまり順番は、むし歯を取り除く → ホワイトニング → 最終的な色合わせ。「治療」という一語に2つの工程が入っているだけで、「先に治療」と「あとで色合わせ」は矛盾していません。予定がある場合は、この3段階の積み上げで逆算してみてください。
福岡博多矯正歯科のホワイトニング
通院の負担を抑えたい方に向けて、オンライン診療と自宅でのケアで進めるホワイトニングをご用意しています。3Dスキャンで採得した歯型からオーダーメイドのマウスピースを作成し、歯科医師の診断のもとでホワイトニングジェルと知覚過敏抑制剤をご自宅にお届けします。
- 診察はオンラインで完結。マウスピースをお持ちの方はご来院いただく必要がありません
- 歯型に合わせたオーダーメイドのマウスピースで、薬剤を歯の隅々まで行き渡らせます
- しみる症状に備えた知覚過敏抑制剤を同梱。経過は24時間LINEでご相談いただけます
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング(国内で承認された薬剤を使用)
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:使用中や使用後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療のむし歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・詰め物・被せ物・差し歯などの人工物は薬剤では白くなりません。効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
