マウスピース矯正は「目立たないし簡単そう」「痛みが少なそう」といったイメージから選ばれることが多い治療法です。けれども、デメリットを知らずに始めてしまい、後悔するケースも少なくありません。
確かにワイヤー矯正と比べると見た目の負担は軽いですが、装着時間の自己管理や対応できる症例の限界など、事前に理解しておくべきポイントがあります。ただし正しい知識を持って臨めば、多くのデメリットはカバー可能です。
この記事では、マウスピース矯正のデメリットから効果的な対策までをわかりやすく解説します。治療を始める前に知っておきたい情報を整理しましたので、自分に合った方法を見つける参考にしてください。
マウスピース矯正の主なデメリット

マウスピース矯正は「目立たない」「取り外しができる」という利点がある一方で、患者自身の管理能力や症例の適応範囲に左右されやすい治療です。
以下のデメリットをあらかじめ理解しておくことで後悔を防げます。
- 1日20時間以上の装着が必須
- 重度の歯並びや骨格的な問題には適応できない
- 歯が計画通りに動かず、治療が長引くリスク
- ワイヤー矯正に比べて歯を動かす力が弱い
- 食事や清掃に伴う管理の手間
デメリット① 1日20時間以上の装着が必須
マウスピース矯正で効果を得るには、1日20〜22時間の装着が必要です。食事と歯磨き以外の時間は常に装着していなければならず、このルールを守れないと計画通りに歯が動きません。
装着時間が不足すると歯が後戻りし、結果として治療期間が延びてしまいます。特に治療開始から数か月は歯が動きやすい時期なので、この時期に装着時間を守れないと治療結果への影響が大きくなります。
外食や会食が多い人、仕事で人前に出ることが多い人は、装着時間をきちんと確保できるかどうかを事前に検討しておくことが大切です。
デメリット② 重度の歯並びは適合しないケースがある
マウスピース矯正は、軽度〜中程度の歯並び改善に向いています。しかし、重度の出っ歯・受け口・開咬などの症例では、十分な効果を得られないことも。特に骨格に起因する不正咬合は、マウスピースだけでの改善が難しいのが実情です。
そのため、重度のケースではマウスピース矯正だけでは理想的な仕上がりにならず、ワイヤー矯正の追加や外科手術の併用が必要になる可能性があります。
治療を始める前には必ず精密検査を受け、自分の症例がマウスピース矯正に適しているかを正確に診断してもらうことが大切です。
デメリット③ 計画通りに歯が動かないリスク
マウスピース矯正は、事前にシミュレーションした治療計画に沿って進みます。しかし実際の歯の動きは人によって異なり、計画通りに進まないケースも少なくありません。
歯が想定より動きにくい場合は、治療期間が延びる可能性があります。さらに、動きが計画と大きくずれた場合には、治療計画の見直しやマウスピースの再製作が必要になることも。その結果、追加費用が発生したり、治療が当初の予定より長期化したりするリスクがあります。
治療を始める際は、「必ずしもシミュレーション通りに進むわけではない」という点を理解しておくことが大切です。
デメリット④ ワイヤー矯正より歯の移動力が弱い
マウスピース矯正は、歯を全体的に包み込むように力を加える仕組みです。そのため、ワイヤー矯正と比べて歯を動かす力が弱いという特徴があります。
この弱さにより、歯を大きく移動させる必要がある症例や、歯根を大きく動かす治療には向いていません。特に、抜歯を伴う大幅な歯の移動や歯を回転させる動きはマウスピース矯正では難しいケースが多いです。
つまり、マウスピース矯正は見た目の改善や軽度な移動には向いていますが、複雑な動きを伴う治療ではワイヤー矯正に比べて制限があることを理解しておく必要があります。
デメリット⑤ 食事・飲み物の制限と管理負担
マウスピースを装着したまま口にできるのは水だけです。食事やコーヒー・お茶など色の濃い飲み物を摂る際には、必ず取り外さなければなりません。さらに、食後は毎回歯磨きをしてから再装着する必要があり、外出先では手間がかかります。
また、間食や甘い飲み物の制限もあり、食生活に工夫が求められます。加えて、マウスピース自体の清掃も毎日必要です。専用ケースを持ち歩いて衛生的に保管するなど、日常的な管理を欠かせません。
こうした手間を継続できるかどうかが、治療を成功させる大きなポイントになります。
費用面でのマウスピース矯正のデメリット

マウスピース矯正は見た目のメリットが大きい一方で、費用が高額になりやすく、追加コストが発生するリスクもあります。治療を検討する際は「初期費用」だけでなく、「延長・再治療・交換」にかかる費用も含めて考えておくことが大切です。
マウスピース矯正の費用相場は部分と全体で大きく異なる
マウスピース矯正の相場は、治療範囲によって大きく変わります。
- 部分矯正:約10万〜40万円
- 全体矯正:約60万〜100万円
Oh my teethの独自調査では、マウスピース矯正経験者133人の平均費用は 約61.7万円で、4割以上の人が当初予算を超えたという報告もあります。
予算超過の平均額は約17.7万円とされ、費用の見積もりと実際にかかる金額には差が出やすい点に注意が必要です。
参考記事:https://www.oh-my-teeth.com/posts/mouthpiece-orthodontic-prices
治療期間の延長で追加費用がかかるリスク
マウスピースの装着時間不足や歯の動きが遅い場合は、治療期間が予定より長くなることがあります。その際、追加のマウスピース製作費用や診察費がかかり、最初の見積もりよりも大幅に高くなるケースも。契約前に、延長時の費用体系を確認しておくことが大切です。
再治療や計画変更で費用が増える可能性
計画通りに歯が動かない、あるいは仕上がりに満足できない場合は、再治療や追加治療が必要になることがあります。マウスピースの再製作や計画の見直しには、追加費用がかかるのが一般的です。
さらに重度症例では、最終的にワイヤー矯正へ切り替えが必要となり、この場合、マウスピース矯正で支払った費用とは別に、新たにワイヤー矯正の費用が発生します。
マウスピース紛失・破損による交換費用の負担
マウスピースは取り外しができる特性上、紛失や破損のリスクがあります。1枚あたりの交換費用はおよそ1〜3万円程度。治療中に複数回紛失すると、その都度費用がかさみ、思わぬ出費につながります。
特に外出先での食事や旅行中は、管理が不十分になりやすく、ケースに入れ忘れて失くすケースが多く見られます。治療開始直後は取り扱いに慣れていないため、紛失リスクがより高まる点にも注意が必要です。
破損した場合も同様に交換費用がかかるため、日常的に注意深い取り扱いと管理を徹底することが求められます。
日常生活で感じるマウスピース矯正のデメリット

マウスピース矯正は日常生活のさまざまな場面で不便を感じることがあります。装着による身体的な違和感だけでなく、食事や会話、外出時の行動制限など、ライフスタイルの変更を求められる点もデメリットです。
主な影響は以下の通りです。
- 装着初期の痛みや違和感で日常生活に支障が出る
- 滑舌が悪くなり、会話や仕事に影響する
- 外出先での取り外しや再装着が煩わしい
- 毎日の清掃や衛生管理に時間と手間がかかる
装着時の痛み・違和感
マウスピースを装着した直後は、歯を動かす力によって痛みや違和感を覚えることが多いです。特に新しいマウスピースに交換した直後の2〜3日間は痛みが強く、食事や会話に支障をきたす場合があります。
装着感に慣れるまでには個人差がありますが、一般的には1〜2週間程度かかります。この期間は集中力が落ちたり、睡眠が浅くなることもあるため、大事な仕事や試験の直前にマウスピースを交換するのは避けたほうが安心です。
滑舌の悪化による会話への影響
マウスピースを装着すると舌の動きが制限され、発音が不明瞭になることがあります。特にサ行やタ行の発音がしづらく、電話対応や会議での発言に支障が出ることも。
接客業や営業職、教師など、話すことが仕事の中心になる人にとっては、滑舌の悪化が業務に直結する大きな問題です。慣れるまで数週間かかるケースもあるため、事前に影響を把握し、周囲の理解を得ておくことが望まれます。
外出先での取り外し・装着の煩わしさ
食事のたびにマウスピースを外し、食後には必ず歯磨きをして再装着する必要があります。外食時には洗面所でマウスピースを外し、専用ケースに保管する手間がかかるため、同席者に気を使うこともあるでしょう。
また、出張や旅行の際には保管ケースや清掃用具、交換用マウスピースなどを持ち歩く必要があり、荷物が増えがちです。急な会食や食事の誘いでは、準備が整わずに困る場面も想定されます。
毎日の清掃・衛生管理の手間
マウスピースは毎日の清掃が必須です。専用ブラシでの洗浄に加えて、週に数回は洗浄剤による消毒も欠かせません。清掃を怠ると細菌が繁殖し、口臭や虫歯の原因になるリスクがあります。
忙しい朝や疲れた夜でも清掃作業を続けなければならず、時間的にも精神的にも負担になりやすいのが実情です。さらに、出張や外出先でも清掃用具を携帯し、適切な衛生状態を維持する必要があります。
マウスピース矯正が適さないケース

マウスピース矯正は多くの人に対応できますが、そもそも適していないケースも存在します。自分に合わない方法を選んでしまうと、時間も費用も無駄になりかねません。
ここでは、マウスピース矯正が適さないケースについて解説します。
重度の出っ歯・受け口・開咬
前歯が大きく突出している、上下が逆に噛み合う受け口、奥歯は当たるのに前歯が閉じない開咬などの症例は骨格的な要因が大きく関わっています。
マウスピース矯正では歯を動かす力が弱く、後戻りもしやすいため適応外となることが多いため、外科矯正やワイヤー矯正を組み合わせるのが一般的です。
骨格的な問題がある場合
上下の顎の成長差や顎関節の位置異常など、骨格そのものに起因する不正咬合は、マウスピース矯正だけでの改善が難しいです。成長期を過ぎている成人は顎の骨格を自然に変えることができないため、外科矯正を併用するか、ワイヤー矯正で補助的に対応する必要があります。
自己管理が苦手な人
装着時間を守れない、マウスピースを紛失する、清掃を怠るなどの自己管理不足は、計画通りに歯が動かない原因となります。その結果、治療が長引いたり、追加費用が発生したり、理想の仕上がりに届かないことも。
生活リズムや性格に合うかを事前に見極めることが大切です。
抜歯を伴う大幅な歯の移動が必要な場合
歯を並べるスペースが足りない場合、抜歯によって隙間をつくることがあります。このときは強い牽引力が必要です。
マウスピース矯正でも対応できるケースは増えているものの、治療期間が長期化しやすく効率も下がる傾向があります。抜歯が必要な症例では、ワイヤー矯正が有力な選択肢です。
後悔しないマウスピース矯正の選び方

マウスピース矯正で後悔しないためには、「診断精度」「料金体系」「自己管理」「サポート体制」の4つの軸でしっかり比較検討することが大切です。このポイントを押さえることで、適応外リスクや追加費用を大幅に減らすことができます。
- チェックしておきたい主なポイントは次の通りです。
- 3DスキャンやX線を使った詳細な診断を受けられるか
- 追加費用が発生する条件や上限が明示されているか
- 自分が1日20時間の装着を続けられるかどうか
- オンライン・対面を含めたフォロー体制が充実しているか
適応症例かを正確に診断してもらう方法
まずは精密診断の有無を確認しましょう。マウスピース矯正が可能かどうかは、歯型採取やレントゲンなどを用いた診断が不可欠です。無料カウンセリングだけで契約を迫られる場合は注意しましょう。
例えば、Oh my teeth導入クリニックでは初回スキャンをもとに3Dシミュレーションを実施し、治療が可能かどうかを明確に提示してから契約に進む仕組みをとっています。
追加費用なしの明確な料金体系の確認
料金表には「調整料」「リテーナー代」「再スキャン費用」などが含まれているかを必ずチェックしましょう。総額が固定されているサービスであれば、予算管理もしやすく安心です。
Oh my teethのBasic・Proプランは、追加費用が発生しない総額制※を採用しているため、治療中に思わぬ出費が増える心配がありません。
※マウスピースを破損、紛失した場合などは別途料金が発生します。
装着時間を守れるかの事前セルフチェック
日常的に飲食の機会が多い、仕事中にマウスピースを外す場面が多いなどの生活習慣がある人は装着時間を確保できるかどうかが課題になります。
失敗を防ぐ方法としては、市販のマウスピースを1週間ほど試用し、就寝時も含めて20時間以上装着できるかをチェックしてみるのがおすすめです。
アフターフォロー体制の充実度
治療中のトラブルや痛みは突然起こるため、相談できる窓口の対応力も重要です。LINEやアプリで24時間チャット相談ができる体制があれば、通院の負担を減らしつつ安心して治療を続けられます。
たとえばOh my teethでは医療チームが24時間LINEでサポートしており、不安や疑問をすぐに解消できる仕組みが整っています。
マウスピース矯正のデメリットを軽減する方法

これまで紹介したデメリットも、日常生活で少し工夫を取り入れることで負担を減らすことが可能です。ここでは、装着の習慣化・痛みの軽減・食事制限への対応・生活習慣の改善といった具体的な対策を紹介します。
主な工夫は次の通りです。
- 装着を習慣化するためのリマインダー活用
- 痛みを和らげる冷却・鎮痛法
- 飲食時の取り外しによるストレスを減らす
- 睡眠と食生活で矯正効果をサポートする
装着を習慣化するリマインダーの活用
マウスピースは歯磨き後にすぐ装着するという「すぐ戻すルール」を徹底することが大切です。さらに、スマホのタイマーで外している時間を計測すると装着漏れを防げます。
また、飲食の時間を1日3回にまとめて生活リズムを固定するのも有効です。これにより取り外し回数が減り、無理なく装着時間を確保できます。
痛み・違和感を和らげる工夫
新しいマウスピースに交換した直後は、24〜48時間ほど圧痛が出ることがあります。多くは自然に落ち着きますが、それまでの間は冷水で口をすすぐ、頬に冷却ジェルを当てるといった工夫が有効です。
必要に応じて、歯科医師の指示に従い市販の鎮痛薬を活用することで、不快感を和らげながら治療を続けられます。
飲食時の取り外しによるストレスを減らす
マウスピース矯正中は、食事や色の濃い飲み物をとるたびに装置を外す必要があります。外食や会食のたびに取り外し・歯磨きをしなければならず、これが大きなストレスになる人も少なくありません。
ですが、ちょっとした工夫で負担を減らすことは可能です。
- 間食を減らし、1回の食事量を増やすことで取り外し回数を減らす
- 色素沈着しやすい飲み物はストローを使う
- 外食時は専用ケースを常に携帯しておく
こうした習慣を取り入れることで、日常生活で感じる不便さを最小限に抑えられます。
睡眠と食生活で矯正効果をサポートする
マウスピース矯正の効果を高めるには、装着時間の管理だけでなく生活習慣も大切です。
- 十分な睡眠をとることで歯の移動がスムーズに進みやすくなる
- 栄養バランスの取れた食事は歯や歯茎の健康を守り、治療の中断を防ぐ
- 就寝前のフロスやマウスウォッシュで口腔内を清潔に保ち、虫歯や歯周病によるトラブルを予防
小さな習慣を積み重ねることで、治療全体の成功率や仕上がりに大きな差が出ます。
まとめ
マウスピース矯正の特徴を振り返ると、次の3点が特に重要です。
- マウスピース矯正は症例や自己管理能力によって向き・不向きが分かれる
- 診断精度・料金体系・自己管理・サポート体制の4軸で比較すれば、後悔を防ぎやすい
- 装着時間の工夫や痛み対策、口腔ケアを取り入れることで、デメリットを最小限にできる
マウスピース矯正の弱点を正しく理解したうえで、自分に合っているかどうかを判断することが大切です。
その最短ルートは、専門家による診断を受けること。
Oh my teeth導入クリニックの無料診断なら、自宅から3分で予約可能です。まずは自分の症例が適応かどうか、そして治療にかかる総額を確認してみてください。
