歯科医院でマウスピースとジェルを受け取り、いざ自宅で始めてみると、細かいところが思い出せない。ジェルはどのくらい入れるのか、外したあとはどうするのか——説明は受けたはずなのに、手元に何もないと不安になるものです。
そしてもうひとつ、この方法には特有の難しさがあります。やり方が合っていたかどうかは、その日には分からないという点です。色の変化を感じられるようになるのは約2週間後。それまで手がかりがありません。だからこそ、手順そのものよりなぜそうするのかという理由を持っておくと、迷ったときに自分で判断できます。順に見ていきます。
やり方の良し悪しは、2週間後まで分からない
ホームホワイトニングでは、開始からおよそ2週間で色の変化を感じられるようになります。裏を返せば、今日のやり方が正しかったかを今日確かめる方法はありません。
ここが、うまくいっているか分からないまま続けることになる理由です。もし量や時間が適切でなかった場合、それに気づくのは2週間後になります。
だから、正しさを結果から確かめるのではなく、ひとつずつの手順が何のためにあるのかを押さえておく。最初の数回を丁寧にやる価値は、この時間差の分だけ大きくなります。
始める前に手元にそろっているもの
必要なのは3つです。歯科医院で自分の歯型から作ったマウスピース、処方されたホワイトニングジェル、そしてマウスピースを保管するケース。
マウスピースは自分の歯型に合わせて作られたものを使います。市販の既製品では歯ぐきに当たる縁の形が合わず、薬剤が漏れたり、行き渡らずに色ムラができたりします。仕組みの全体像はホームホワイトニングとは?仕組み・効果・費用と「白くなる歯/ならない歯」の見分け方にまとめています。
1日の手順と、その理由
| 手順 | やること | 何のためか |
|---|---|---|
| ① | 歯を磨く | 薬剤を歯に直接触れさせるため |
| ② | ジェルを入れる | 歯の表側にあたる面へ、薄く均一に |
| ③ | 装着する | 濃度とセットで決まった時間だけ |
| ④ | 外してすすぐ | 薬剤を残さないため |
| ⑤ | 洗って乾かす | 変形と汚れを防ぐため |
①歯を磨く——薬剤を歯に直接触れさせるため
装着の前に歯を磨きます。表面に食べかすや汚れが残っていると、その分だけ薬剤が歯に届かなくなるためです。磨き残しがある部分だけ変化が鈍る、ということも起こりえます。
このとき歯磨き粉を使うかどうかは、歯科医院によって案内が分かれます。処方を受けた歯科医院の指示に従ってください。
②ジェルを入れる——歯1本あたり米粒より小さい程度
マウスピースの内側、歯の表側にあたる面に、ジェルを薄く置いていきます。量の目安は歯1本あたり米粒より小さい程度です。並べてみると驚くほど少なく感じますが、これで足ります。
多く入れたくなるところですが、量を増やしても白くなる速さは変わりません。 理由は単純で、薬剤が接している歯の面積は変わらないからです。入れすぎた分は装着したときに歯ぐき側へ押し出され、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感の原因になります。増やして得られるものはなく、負担だけが増える形です。
③装着する——時間は濃度とセットで決まっている
指示された時間だけ装着します。過酸化尿素10%なら1日2時間程度、20%なら30分から1時間程度が目安です。
濃度が違うと時間も変わるのは、歯に触れる薬剤の総量がおおよそ同じになるよう設計されているからです。時間を延ばしても速く白くはならず、しみる症状が出やすくなるだけというのは、この設計から来ています。
装着したあと、縁からはみ出したジェルがあれば、指やティッシュで拭き取っておくと歯ぐきへの刺激が減ります。
④外してすすぐ——薬剤を残さないため
時間が来たらマウスピースを外し、口を数回すすぎます。そのあと歯磨き粉を使わずにブラッシングし、歯に残ったジェルを落とします。
薬剤が口の中に残ったままだと、歯ぐきへの刺激が続くことになります。すすぐ工程は省いてよい部分ではありません。
⑤マウスピースを洗って乾かす——変形と汚れを防ぐため
外したマウスピースは、水またはぬるま湯で歯ブラシを使ってこすり洗いします。ジェルが残ったままだと汚れやにおいの原因になるためです。洗ったあとは水気を切って乾かし、ケースに入れて保管します。
ここで気をつけたいのは熱湯を使わないことです。マウスピースはプラスチックでできており、熱で変形します。少し形が変わっただけでも歯との密着が崩れ、薬剤が均一に行き渡らなくなったり、歯ぐき側へ漏れたりします。直射日光の当たる場所や車内など、高温になる場所での保管も同じ理由で避けます。
使用後に気をつける時間帯
マウスピースを外した直後の歯は、表面を守っている膜が一時的に薄くなっています。この状態で色の濃いものを口にすると、かえって着色しやすくなります。
目安として、外してから2〜3時間程度はコーヒー、紅茶、赤ワイン、カレー、色の濃いソースなどを避けてください。酸性の強い飲み物も、表面が敏感な時間帯には控えた方が無難です。
つまずきやすい3つのこと
始めたばかりの方が、良かれと思ってやってしまいがちなことが3つあります。いずれも結果は逆方向に働きます。
ジェルを多めに入れる。 早く白くしたいという気持ちからですが、前述のとおり速さは変わらず、歯ぐきへの負担だけが増えます。
装着時間を延ばす。 これも同じで、白くなる速さは変わらず、しみる症状が出やすくなります。設計された時間には理由があります。
熱湯でマウスピースを洗う。 清潔にしようとしての行動ですが、変形して合わなくなると、それ以降のすべての回に影響します。手入れは水かぬるま湯で十分です。
自由診療についての注記
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容は薬剤による歯の漂白で、費用は歯科医院や方法によって異なります。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療のむし歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方や必要な回数には個人差があります。
しみたときにどうするか
冷たいものがしみる症状は、ホワイトニング中に起こりうる反応です。多くは24時間から48時間程度で落ち着きます。
やめてしまうのが唯一の選択肢ではありません。1回の装着時間を短くする、毎日ではなく1日おきにする、知覚過敏を抑える薬剤を併用する——といった調整で続けられることがあります。ペースを落とした分だけ目標到達までの期間は延びますが、中断して振り出しに戻るよりは進みます。
ただし、しみる状態が続く場合や、症状が強い場合は自己判断で調整せず、処方を受けた歯科医院に相談してください。むし歯や歯ぐきの状態など、別の原因が隠れていることもあります。
1日2時間をどこに置くか
続けられるかどうかは、意志より時間帯の設計で決まります。装着中は飲食ができないため、食事の前後を避けた時間帯に固定するのが現実的です。
帰宅してから夕食までのあいだ、夕食後から就寝前まで、在宅で作業している時間、入浴と家事をまとめて済ませる時間帯——生活のリズムによって置きやすい場所は変わります。毎日ばらばらの時間にやろうとすると、そのうち抜ける日が増えます。同じ時間帯に固定するのが、続けるうえで効きます。
なお、装着したまま眠るのは避けてください。長時間の装着はしみる症状につながりますし、外れて誤って飲み込む可能性もあります。
経過をどう見るか
毎日鏡を見ていると、変化には気づきにくいものです。少しずつ進むうえに、自分の歯の色は見慣れているためです。
確実なのは、始める前の色を記録しておくことです。歯科医院ではシェードガイドという色見本で開始前の色を確認するので、その値を覚えておきます。2週間ほど経った時点で同じ基準と見比べると、変化が分かります。
目標の明るさに届くまでは、2週間から3ヶ月程度をみておいてください。歯の状態や元の色によって進み方は変わります。
自由診療についての注記
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容は薬剤による歯の漂白で、費用は歯科医院や方法によって異なります。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療のむし歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方や必要な回数には個人差があります。
ホームホワイトニングのやり方に関するよくある質問
ジェルが余ってしまいます。多めに入れてもいいですか?
量を増やしても白くなる速さは変わりません。薬剤が触れている歯の面積が変わらないためです。余った分は歯ぐき側へ押し出され、刺激感や白濁の原因になります。指示された量を守り、余った分は次回に回してください。
装着したまま寝てしまっても大丈夫ですか?
避けてください。指示された時間を大きく超えて装着することになり、しみる症状が出やすくなります。また睡眠中に外れると、誤って飲み込む可能性もあります。眠くなる時間帯を避けて装着の枠を決めておくと安心です。
1日空いてしまいました。やり直しになりますか?
やり直しにはなりません。それまでに進んだ分は残っています。ただし間隔が空くほど目標到達までの期間は延びます。抜けた日を取り返そうとして翌日に長く装着するのは、しみる原因になるので避けてください。通常のペースに戻せば十分です。
福岡でやり方を確認しながら進めるにはどうすればいいですか?
処方を受けた歯科医院に、経過を報告しながら進めるのが確実です。オンラインで相談できる体制をとっている歯科医院であれば、通院せずにやり方や症状の相談ができます。始めてすぐの時期は疑問が出やすいので、聞ける相手を確保しておくと安心して続けられます。
まとめ|手順ではなく理由を覚えておく
ホームホワイトニングの1日の流れは、歯を磨く、ジェルを薄く入れる、決められた時間だけ装着する、外してすすぐ、洗って乾かす——この5つです。
それぞれに理由があります。磨くのは薬剤を歯に直接触れさせるため。量を守るのは、増やしても速さが変わらず歯ぐきへの負担だけが増えるため。時間を守るのは、濃度とセットで設計されているため。すすぐのは薬剤を残さないため。熱湯を避けるのは、変形すると密着が崩れるためです。
やり方が合っていたかは2週間経たないと分かりません。だからこそ、理由を持っておくことが、迷った日の判断を支えてくれます。
福岡博多矯正歯科のホワイトニング
通院の負担を抑えたい方に向けて、オンライン診療と自宅でのケアで進めるホワイトニングをご用意しています。3Dスキャンで採得した歯型からオーダーメイドのマウスピースを作成し、歯科医師の診断のもとでホワイトニングジェルと知覚過敏抑制剤をご自宅にお届けします。
- 診察はオンラインで完結。マウスピースをお持ちの方はご来院いただく必要がありません
- 歯型に合わせたオーダーメイドのマウスピースで、薬剤を歯の隅々まで行き渡らせます
- しみる症状に備えた知覚過敏抑制剤を同梱。経過は24時間LINEでご相談いただけます
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング(国内で承認された薬剤を使用)
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:使用中や使用後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療のむし歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・詰め物・被せ物・差し歯などの人工物は薬剤では白くなりません。効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
